伊勢神宮#4 『宇治神社・足神神社・蓬莱稲荷神社, 饗土橋姫神社, 大水・川相・熊淵神社, 合格神社』

猿田彦神社から遅めのお茶をするため、再びおはらい町に舞い戻ります
 
温かいお茶と素朴な甘みを求め五十鈴茶屋本店へ
ピークも過ぎ店内は静かな佇まいそのもの、枯山水の庭園を眺めながら頂く
「黒豆あわぜんざい」は蒸した粟の素朴な風味と舌触りがやさしい

帰りの電車に時間があるようなのでリクエスト、バス停のある内宮駐車場の裏手にも複数の神社が鎮座しています、そちらを参拝して廻ります
まずは宇治橋を背にして、駐車場の左奥に南伊勢町に続く細い県道を左に進みます
間もなく道路の右側に宇治神社の鳥居が見えて来ます
道路際に木製鳥居と左に手水舎、右に社号標と由緒書
上段
鳥居から先は石段が続き、上で左に曲がっているようです
参道脇に足神様と書かれた白い幟が立ち並んでいます
下段
最初の石段を登ると正面に社務所、右に石段が上へ続きます、その先の赤い鳥居が目を引きます
石段の途中に赤い艶のある撫石
健脚の神様「足神様」は足腰の病にご利益があるそうで、足の平癒を祈って体とこの石を交互に撫でると足神様のご加護をいただけるそうです
足神神社
小振りな社ながら鳥居を構え、周囲は玉垣で囲われています
社後方の絵馬掛けには無数の草鞋が掛けられています
宇麻志阿斯訶備比古遅神が祭神
1751~1764年(宝暦年間)磯部街道にあった茶屋の主が、足を痛めた老狐の治療に手を尽くすも、その死んでしまったそうな、主はこれを葬り山神に祖霊と祀り崇敬した事から始まるといわれます
足の神様なのでマラソン界のアスリート達が参拝に訪れるパワースポットの様です
石段を登りきり、下から見えていた赤い鳥居の蓬莱稲荷神社へ
外にお狐様の姿は見えませんが、社の中には小さな狐達がしっかり守護しています

蓬莱稲荷神社
祭神は宇迦之御魂神
以下は由緒書きから

「現在の五十鈴川郵便局と藤屋窓月堂との路地(宇治中之切町旧進修小学校地内)にあったものを移したものであります。
元来は今在家町丸山にあったもの(1684年~1688年 林崎文庫設立時は、稲荷神社があった)を、天明2年(1782年)修築時に移されたものであります。
内宮権禰宜で副物忌父職(そえものいみのちち)を兼帯したことから、蓬莱家の社であったと思われます」
宇治神社境内
中世より鳥居前町として栄えた館・今在家・中之切・浦田の四ヶ町と、この町で生活する人々を守ってきた産土神、主祭神は大山祇神
1908年(明治41)4町で祀られていた神社の御祭神と旧内宮所管社の御祭神25柱を宇治神社に合祀したもので、拝所内にその祭神が書かれています

大山祇神、宇摩志阿斯訶備比古遅神、宇迦之御魂神、玉移良比賣神、御裳須曽姫神、豊玉比賣神、素戔嗚尊、天兒屋根命、速秋津日子神、速秋津比女神、新川比賣神、火産靈神、水波賣神、石津賀神、応神天皇、天見通命、 大職冠鎌足神靈、和気清麿神靈、菅原道真神靈、楠正成神靈、彌武彦神、 羽倉東麿神靈、 岡部真淵神靈、本居宣長神靈、平田篤胤神靈
それほど大きくもない本殿に25神がこれでもかと云わんばかりに祀られています

現在の神明造りの本殿は2016年(平成28)の第六回式年に遷宮されたもので、その翌年に足神神社と蓬莱稲荷神社も建て替えられた様です

創建は諸説あるようで、皇大神宮末社那自賣神社の跡地に土地の神を祀った説、1660年(万治3)の宇治洪水の時に神路山にあった祠がここに漂着したという説の二つ

宇治神社・足神神社・蓬莱稲荷神社
住所 / 伊勢市宇治今在家町172
アクセス / ​宇治橋から左へ徒歩5分​ 
饗土橋姫神社
宇治神社から5分程戻った左側、宇治橋の正面に鎮座します
鳥居の先に背後を杜に包まれた広い境内の中にが本殿がホツンと鎮座しています
宇治橋の正面にありながら参拝者は少ないようです

祭神は宇治橋鎮守神
宇治橋を守護する神で社名の「饗土」とは内宮四方に疫病や悪霊などの悪しきものが入るのを防ぐために饗応の祭りを行う土地を指すようで、宇治橋渡始式にはこの神社の前で祭典が行われるそうです
創建は1477年(文明9)以前
静かな杜に包まれ鎮座する饗土橋姫神社、そこに漂う空気は何か違うものを感じます
饗土橋姫神社の鳥居の前から右に続く参道があり、小高い丘に津長・新川・石井神社の社が見えます

祭神
津長神社 /  栖長比賣命(五十鈴川の水の神)
新川神社 /  新川比賣命(五十鈴川にあった船着き場の守護神)
石井神社 /   高水上命(石清水の神)
創建 /  垂仁天皇26年
饗土橋姫神社の鳥居から左の参道を進むと大水・川相・熊淵神社に続きます
如何にも古そうな石段を登っていきます
右側の見上げる様な高台
楠木の巨木の前に玉垣で囲われた神明造りの社が大水・川相・熊淵神社

祭神
大水神社 /  大山祗御祖命(五十鈴川辺の山の神)、社名に対し祭神が山神なのが解せないとの話もある
川相神社 /  細川水神(川の神)
熊淵神社 /   新川比賣命(石清水の守護神)
創建 /  伝垂仁天皇御世内宮摂社の大水神社と末社の川相神社、熊淵神社も共に祀られ、いずれも倭姫命によって定められたとされ、本殿の右から見える駐車場方向の風景は結構な高低差があります

さて参拝を済ませたところで、今一度饗土橋姫神社に戻り山の奥に続く参道へ向かいます
饗土橋姫神社の左横から森へ続く全く人気のない参道は合格神社へ続いていきます
如何にも学問の神様を想像させます、社名自体はあまり聞き慣れない
周囲を杜に覆われ、傾斜地を二段に切り開いて作られた境内と細い参道
朽ちかけた木造鳥居から始まり苔むした神社全体といい、なんて寂れた神社だろう
薄暗くなってきた境内に佇む苔生した狛犬と手水鉢

お伊勢さんは皇大神宮(内宮)や豊受大神宮(外宮)、別宮や摂末社を含めた125社には海外からやってきた狛犬は置かれません(一部例外あり)、神宮125社を巡る際の識別の目安にもなります
尾崎行雄(1858年~1954年)を敬愛する団体が昭和に入り建てた神社の様です
社号の「合格」は良く言う入試合格・学業成就を含めた理想と目標達成の祈願をする学問と政治の守備神とされています
合格神社
祭神 / 尾崎行雄(憲政の神様と称される明治から昭和の政治家)
創建 / 1984年(昭和59)
境内の建立碑と本殿域から眺めた参道
神社周囲は倒木が目に付き、寂れた神社の印象に拍車をかけている
お伊勢参りの最後の締めくくりとして印象に残る神社です

さあ、帰りの電車の時間も迫って来たので​バス停から近鉄宇治山田駅​に向かいます
夕陽に輝く近鉄宇治山田駅
有形文化財で駅内の作りもレトロな建物、さあここから電車で帰途に付くことにします

2019/02/06
歩いたルート
宇治橋~宇治神社~饗土橋姫神社~津長・新川・石井神社~大水・川相・熊淵神社~合格神社
 
 

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