『村上社』

久し振りの雨、西之門の秋葉社を参拝しがてら、足を延ばし楠町の『村上社』を訪れました
笠寺台地の高みに位置する楠木町、秋葉社から歩いても15分くらい、僅かなものです
目指す「村上社」は桜台高等学校の東に鎮座します
ひとしきり降っていた雨も小降りになってきました
 グレー一色の景色の中に村上社境内の新緑が鮮やかです
 境内北側の歩道から見た村上社の御神木
名古屋市の天然記念物に指定されている「楠」の老木です
ここ楠木町の由来はこの楠木から付いたものです
町のシンボルツリーと言っても過言ではないでしょう
それにしても、この根本の太さたるや
一抱えとかで形容できない巨大なものです
古い枝は落とされ、樹医の手も施されているようです
解説板によれば「樹高は20mを越え、枝張は20mで樹齢は1000年」との事
「この~木なんの木、気になる木~・・・・・」のモンキーポッドの趣にも見えます
 楠木の巨木の枝の下に鎮座するのが村上社です
石鳥居と常夜灯の先に小振りの社が東を向いて建つ、小さな神社です
 境内右には手水鉢はありますが・・・・・
 手水鉢の先にある石碑
『桜田へ たずなきわたる あゆちがた しほひにけらし たずなきわたる』と彫られています
万葉集の高市連黒人」の歌碑
桜田の方へ、鶴が鳴いて渡ってゆく 年魚市潟は潮が引いたようだ 鶴が干潟の上を鳴きながら渡ってゆく、そんな光景を詠んだもの
現在の笠寺台地の周囲は遠浅の海岸が続く景勝地でした
その当時の様子は尾張名所図会にも記され、その名残は鶴里町として今も残ります
 ここ村上社の楠木は鎌倉街道や東海道の道標、あるいは野並・古鳴海の渡船場を目指す、舟の山だてにもなっていたのではなかろうか
 村上社の鎮座地はその昔八幡社があったと聞きます
ここの楠木の成長に合わせ、​八幡社​はここから2~3分南の春日野小学校の東に移り変わった様です
 村上社の創建や祭神等は良くわかりません
高台に佇む楠木の巨木、今では住宅に囲まれ、山だてに使われた当時の様な存在感はなくなったけれど
楠木町付近の笠寺台地を歩いていれば、存在を誇示するように聳えています
この村上社には「信長攻略」の看板があり、信長と所縁かあるようですが
この巨木にとっては長い樹齢の一コマでしかない、遥か昔からこの台地に聳え立ち、時代の移り変わりや人々の営みの移り変わりを見続けてきた、この楠木そのものがこの町の氏神様なのかもしれません

樹木の寿命はどれくらいのものなのか、ついつい考えてしまう
切ってしまうのは一瞬で終わってしまいます
あとに残るものは、ポッカリと穴が開いた無機質な景観だけのような気がします
村上社の楠木は自然の偉大さと、ある種の神々しさを感じる事ができます
2019/5/14

『村上社』
創建/祭神ともに詳細不明
住所 / 名古屋市南区楠町17
アクセス / ​​名鉄本線「本笠寺」下車、北東へ徒歩15分程​​

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