戸隠高原 「念佛池」

 今回の戸隠五社巡りの起点となる戸隠イースタンキャンプ場。


カッコーの鳴き声で目覚める、相変わらず朝は早い、熟睡中のかみさんを起こさない様に一人早朝の散策に出かけた。熊の存在を考えると少し心細いが遭遇したらその時に考えよう。

目的地はキャンプ場から県道36号線沿いに奥社方向へ徒歩10分程、県道沿いに熊笹に包まれた森に続く注連縄の吊られた小路を目指します。

前日キャンプ場に向かう途中、車窓から見え、気になっていたところです。
国道沿いに無料の駐車場があり、そこに掲げられていた案内図が上。
複数の車中泊の車はここから登山目的で夜を明かしていたようです。
目的地へはこの看板脇から右に続く小路があり、そちらからも行く事が出来ますが熊笹が生い茂り、ここは県道側から向かいます。

県道36号線から念佛池入口を見る。
左手に注連縄で結界がはられた入口があります。

県道から入口の眺め。
注連縄と右手の石標に気が付かなければ見つけにくい。
池そのものがやや下がった位置にあるので目立たない事もあり、訪れる人は少ない。
念佛池はすぐこの先。

右の苔むした石標「念佛池」とある。

碑の裏側の元号は安政5年(1858)と読める。
ほぼ2世紀にわたり雪深いこの地に建ってきただけに全体は苔が覆い、碑そのものは角がない。

碑からすく先の少し窪んだ場所に小さな池があります、これが「念佛池」
池の対岸に石の祠と解説板があるが、見ようによっては「ただの池じゃん」となるだろう。
池の周囲は花期は過ぎているけれどリュウキンカの黄色の花がちらほら残っている。
5月から6月頃なら池の周囲は鮮やかで可憐な黄色の花が彩を添えているのではないかな。
この小さな池、どこからも水は流れ込んできていません。
澄んだ池の底を眺めてください、砂を舞い上げて地下水が湧出しているのが見て取れます。

念佛池解説
建歴2年(1212)の頃、親鸞聖人(浄土真宗開祖)が戸隠権現(戸隠神社)へ参詣されました。
その折り、この小池の端で念仏を唱えると、念仏に応えて池底が沸き返るが如き不可思議な状態を現したので、戸隠権現の霊験顕著と感激し「念佛池」と命名したと伝えられています。
親鸞聖人旧跡
滞在宿坊 (戸隠中社)
桂の木 (戸隠豊岡)

奥社鳥居左奥に「一龕龍王の祠」が建っていますが、干ばつの時に黒姫山登山道の脇にある「種池」の水を汲んで雨乞いをすれば、必ず雨が降ると信じられていて、「種池」の主とされる「一龕龍王」がそこに祀られているという。
6月の「種池祭」では、その祠と「種池」、そしてここ「念仏池」でも神事が行われるそうだ。

右手の「念仏池」と刻まれた石標には親鸞聖人がこの池を拝む姿が描かれている。
すっかり苔むした祠、いつ頃祀られたものなのか詳細は分かりませんが、時の経過とともに山と一体になろうとしているようにも見えます。

森の中に佇む小さな池。
池の底から砂を舞い上げ脈打つように水が湧きだす光景は親鸞聖人がこの小池の端で念仏を唱えて起きたとされる不可思議な状態が今も続いている。

朝霧に包まれた念仏池の水面に周囲の木々が映り込み、静まり返った周囲にあって、池の底から湧き上がる湧水のさまは自然の息遣いそのもの、この山自体が息づいている。
そう感じる事間違いない、神秘的な光景が見られます。

そろそろかみさんも起きていることだろう、ここはかみさんにも教えてあげよう、いい加減戻るとするか。
念佛池方向の県道から戸隠イースタンキャンプ場受付ロッジ(右の建物)の眺め、キャンプサイトは県道を超えた右方向になります。
2021/06/24

念佛池
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所在地 / ​長野県長野市戸隠越水
車アクセス /   上信越自動車道信濃町ICから約30分
戸隠イースタンキャンプ場から​徒歩10分程


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