常燈の天王社

守山区小幡周辺の路地には複数の小さな赤い社が祀られています。
今日はその内の一つ、守山区小幡常燈にある赤い社を訪れます。
三連休の最終日の夕方、さぞかし道は行き交う車が多いかと思っていたけれど意外に車も歩行者も少ない。世の中に広まりを見せる「COVID-19」の影響だろうか。
基幹バス汁谷で降車、矢田川に架かる千代田橋を渡り、城下交差点を右に折れ、城下東の交差点で左に曲がり、緩やかな上り坂をひたすら「瀬戸電」方向に歩く。
基幹バスを降りてから30分程の道中です。電車利用は「瀬戸電」小幡から線路沿いに歩けば近い。
やがて正面に「瀬戸電」の歩行者用の踏切が見えてきます、そして交差点の右角に目をやると赤い覆い屋が建っています。常燈の赤い社に到着です。

ここは目と鼻の先に「瀬戸電」が東西に走り、その先には瀬戸街道が東西に延びています。
その昔の瀬戸街道は名古屋城から現在の尾張旭市を経由し、瀬戸市へ続き江戸時代中期、あゆち潟周辺で作られた塩を遠く信州まで運ぶ交易の道として古くから街道沿いには集落が点在し、寺社も建てられた。
そんな土地柄故に地名には過去の名残が残り、この辺りの「城下」も何やらイメージさせるものがある。
角地の奥まった場所に石垣が積まれ、その上に赤い覆い屋が建っています、建っているというよりは乗せられているといった方がいいのかもしれません。

この覆い屋のある地名は常燈10。
守山区大字小幡の一部と字常燈、字宮ノ腰の一部を纏め1994年に現在の小幡常燈。宮ノ越やら常燈やら想像が膨らむ地名の多い事、地名は正に過去のその地を表すもの。
常燈の赤い社。
石垣を高く積み、その上を台座にして、瓦で葺かれた切り妻の覆い屋を乗せた印象を受ける。
夕陽を受けて赤が一段と浮き立っています。
正面以外は重い屋根を支える四本の足に玉垣が付けられ、強度を上げるのに一役買っているようにも見えます。
石垣に使われている石も個性的な石が使われ、赤い山土で盛られたその光景は、住民のハンドメイドの香りが漂います。
板宮造の小さな社。
扉は開け開かれ中のお札「津島神社神札」が良く見え、この社の素性がよく分かる。
社の下に石、なんだろう? 重石代わりだろうか?
質素で面白みのない社と片付ける事なかれ。
日々お参りに見える方がいるようで、心ばかりの賽銭も置かれています。

お賽銭はいくらが良いとか言われる向きもありますが、米や酒でもいいだろうし、札でもいい。
要は気持ち、金額で忖度するどこぞの輩とは違います。
おやじも僅かばかりの賽銭を上げお詣りさせて頂きました。

この天王社(津島社)について、どこからか遷座されたものなのか、もとからここに祀られていたものかなど情報は少ない。
こんな時に参拝に訪れる方に遭えると意外な話を聞くこともできるのですが賽銭の主は現れなかった。
夕陽が差し込むこの通りにあって、交差点角地で日当たり良好の好物件。
そこに祀られた赤い天王社は、今も身近な「天王さん」として崇拝されているようです。

常燈の天王社
創建 / 不明
祭神 / 不明
住所 / 名古屋市守山区小幡常燈10
公共交通機関アクセス / ​名鉄瀬戸線「小幡」下車西に徒歩10分程
おやじのルート / 基幹バス基幹2「汁谷」降車千代田橋経由北へ徒歩30分
天王社から瀬戸電に向かってみました。
瀬戸電は名古屋の中心部栄と瀬戸を繋ぐ、約20kmの名鉄(名古屋鉄道)瀬戸線の事で、前身の瀬戸電気鉄道の略称。
おやじには名鉄瀬戸線よりは「瀬戸電」の方が馴染みがあります。
夕陽に輝く線路の先から赤い電車が走って来たら、子供のころから見慣れた光景となるのですが。
矢田川の川面に写る赤い電車も今やステンレス製の4000系と呼ばれるスマートな車両が走っています、いつまでも「瀬戸電」では失礼だね。帰りはこれに乗って帰ろう。
2020/2/24

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