『信長塀』
熱田神宮の広い境内、『大幸田神社』の後方から東西に塀が続いています。
『信長塀』と呼ばれこの塀は、その名の通り信長が寄進したもの。
当時は全長400㍍の長さがあったそうですが、現存するのは120㍍ほど。
1560年(永禄3)、桶狭間出陣の際、手勢の少ない圧倒的に不利な戦へ出陣するにあたり、信長は熱田神宮で戦勝を祈願したといいます。
ご存知の様に天候を味方とした信長の奇襲により、今川義元は討ち取られます。
どう考えても不利な戦いに勝利できたのは熱田の神が味方をしたのかもしれません。
内心では信長自身死を覚悟の出陣だったと思いますが、その戦に勝てたお礼として熱田神宮に奉納したのがこの塀と伝わります。
「日本三大土塀」というものがあるようで、兵庫県の西宮神社大練塀、京都の三十三間堂太閤塀と名古屋の信長塀を指すようです。
土と石灰を油で練り固め、瓦をサンドイッチし厚く積み重ねて作られた築地塀(ついじべい)、塀の上には瓦屋根が付きます。
今時のブロックとセメントの塀はその気になれば容易に破る事が出来ますが、この塀はそう簡単には倒せまい。
それ故にこの塀は大切なものを守る防御の目的が感じられます。
この塀が守るのは、信長を勝利に導いてくれた熱田大神そのものだろう。
先人の知恵で作られた信長塀は震災、戦禍に遭いながらも今も姿を留めています。
重厚で趣のある塀ですが、この解説がなければただの「へぇー」かもしれない。
熱田神宮境内 『信長塀』
建立 / 1560年(永禄3)
住所 / 名古屋市熱田区神宮1-1-1
公共交通機関アクセス / 市営地下鉄名城線「伝馬町」駅下車徒歩10分程
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