熊野三山巡り

 状況を見て見送っていた熊野三山巡り、車中泊で2/21~22の二日間で回ってきました。

天候と気温を見ながらこの日に予定、コロナの状況を見ながらの熊野詣。

昔は道路事情も悪く一晩かかりで出かけたものです。
高速も伸び、国道は整備され道路事情は格段に良くなり、印象としては日帰りでも行けない事はない。
コロナで悉く遠出が出来なくなり、おやじの車で遠出は久し振り、車検後初めてかも?
名古屋発6時でひたすら高速を使ってのドライブ、車もご機嫌はいいようだ。

途中、朝食休憩を取りつつ法定速度+10㌔でのんびり走る。それでも9:30には三重県熊野市紀和町の「道の駅 熊野・板屋九郎兵衛の里 」に到着小休止。
道の駅からは「紀州鉱山選鉱所」の建物の骨格が良く見える。
昭和中期から後期にかけて、ここで採掘した銅などの鉱石を選別する施設が24時間操業で稼働していたそうで一時は東洋一の選鉱量を誇ったそうです。
それも衰退し現在は建物を支えていたコンクリートの骨格がこうして残るのみ、古代の遺跡か水路のようでもある。紀和鉱山資料館もあり面白そうなところ。
道の駅 熊野・板屋九郎兵衛の里 
住所 / 三重県熊野市紀和町

休憩を終え30分程で全国に多々ある熊野大社の総本宮熊野本宮大社に到着。
写真は大斎原。 杉並木に囲まれた神域は神武天皇とヤタガラスの出会いの地です。
この場所は熊野川と支流の音無川・岩田川が交わる洲にあたり、1889年(明治22)の夏に熊野川の大洪水で上、中、下社の各4社の内、上四社を除き被災。
大きな禍の後、人は学ぶものです、これを機に1891年(明治24)、ここから約700㍍上流の高台の地に遷座した。大斎原には中4社、下4社と摂社の御神霊が二つの石の祠に祀られています。
左の堤防の先は熊野川だ、川は時に荒れ狂い、人や物を奪い去るけれど、反面土壌を更新し肥沃なものになる。
こうして人と自然が身近に接する風景に被災時の面影はないけれど、力任せでコンクリートの護岸堤防や3面コンクリートにして自然に対抗しても自然の力は計り知れない。
神社が遷座した様に、引く所は引き、上手く共生するのが本来の姿なのかも知れない。
復興の象徴として建てられた巨大な約34㍍のコンクリートの大鳥居、大きさでは日本一の鳥居だと云う。確かに大きい、けれどこの光景に果たして必要だったのか疑問が残る。
熊野本宮大社
住所 / 和歌山県田辺市本宮町本宮


お昼は熊野本宮大社の前を走る国道168号線沿いの「三軒茶屋」でかみさんはめはり寿司、おやじは「秋刀魚寿司」。以前熊野のホテルバイキングで出た秋刀魚寿司は大外しだった。
今回は美味しく頂けた、やはり秋刀魚寿司は美味しいものだ。
リベンジを果たしたところで次の目的地まで小一時間のドライブ。

熊野新宮 熊野速玉大社
熊野本宮大社、熊野那智大社とともに熊野三山をなす大社でこの北側には熊野川が流れている。
神倉神社のゴトビキ岩に降臨した熊野権現を勧進するため、景行天皇の時代に社殿を造営したのが始まりという。創建は伝承では景行天皇58年、主祭神は熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)と熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)の夫婦神を祀る。
朱塗りの神門から境内に入ると、朱塗りの瑞垣に囲まれた本殿域には朱塗りの社殿が横に5棟並んで鎮座しています。
左から第一殿、第二殿、摂社の奥御前三神殿、第三殿、第四殿、神倉宮の三社相殿。
第五殿から第十二殿までの八社相殿と5棟が並んでいます。
向かって左の礼殿礼殿の前には第一本社と第二本社が建つています。
第一本社は「結宮」と呼ばれ、熊野結大神(くまのむすびのおおかみ)を祀り、第二本社は「速玉宮」と呼ぶ、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)が祀られています。
社殿は昭和に入り再建された事もあり、年月を感じるものではないかもしれないけれど、檜皮葺で朱塗りの社殿が並ぶさまは見応えがある。
熊野新宮 熊野速玉大社
住所 / 和歌山県新宮市新宮1

熊野新宮熊野速玉大社から熊野三山始まりの地、「神蔵神社」は新宮から車で10分もあれば駐車場に辿り着け、とってもお手軽に始まりの地に行ける。
狭い道で駐車場の間口も狭く、駐車場自体も狭い印象、大きなSUVや四駆ではとっても厄介な場所。
しかしそれさえ我慢すれば、熊野三山に祀られる熊野権現が初めて地上に降臨した伝承をもつ古社「神蔵神社」はとっても近く、たった120㍍程の神蔵山の中腹に鎮座する社までは、熊野古道の一部で500段ほどの石段を上るだけだ・・・・・嘘ばっかりです。
ここからはマジで書きます。
・ヒールなんて絶対に無理です。
・最低でも滑り止め加工されたソールの靴がいいでしょう。
・できれば飲み物があるといいでしょう。
・入口に杖があります、その心遣いには甘えて下さい。手摺はありません。
・調子こいて直登すると膝に来ること間違いなし、ゆっくりと途中休憩を入れ登ってください。
・人の目は気にすることなく手も使いましょう。
・登ったら最後、エスカレーターはないので必ず自分で降りるしかありません。
・山と一緒です、登りの方に道を譲りましょう。

鳥居から御神体のゴトビキ岩まで、2回程休憩を取り30分程かかりました。
天ノ磐盾(あまのいわたて)という険しい崖の上にあり、絶妙のバランスで安定したゴトビキ岩、ここに熊野権現が降臨したとされ、その下に石垣が積まれ社が鎮座します。
この不思議な空間と空気感は、自然の奇跡では語れない特別なものを感じる。
そこから眺める市街地と熊野灘の眺めはここまでの道のりを忘れさせてくれるでしょう。
始まりの地へは近いようで過酷な急登の石段が続く道のりです、自分の足で駐車場に戻りましょう。
神蔵神社(熊野元宮)
住所 / 和歌山県新宮市神倉1-13-8

補陀洛(ふだらく)山寺
本来は明日予定していた寺だ、意外に移動に費やす時間が少なくて寄っていく事にした。
この寺は補陀落渡海の住僧を出した寺として知られる。
こんな小さな小舟で遥か南方海上にあるとされた補陀落浄土を目指す。
それは自らの死を覚悟して漕ぎ出す究極の修行のことで、9世紀から18世紀までの間に20数回も帰らぬ旅へと船出を試みたとされる。
この境内左に「那智山宮曼荼羅」に描かれた「渡海船」を基に復元モデルが展示されています。
全長は6㍍程の入母屋造の帆船で、四方に発心門、修行門、菩提門、涅槃門の殯の鳥居がある。

凡人からみるとこれはもはや修行ではない。
補陀洛山寺
住所 / 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字浜の宮348

今日一日予報通りの温かい一日だった、結構汗もかき地元の天然温泉「きよもん湯」でひとっ風呂。
約1,500年の歴史を持つ紀州の名湯。地元から親しまれる源泉流しっぱなしの湯。
その昔は熊野詣での旅人の疲れを癒した温泉、今は仕事終わりの地元の方が一日の疲れを癒しに訪れる。
露天風呂がある訳でもなく、大浴場があるだけのシンプルな施設だけれど、入浴料500円を買い求め施設に入ると直ぐに硫黄のにおいが漂い期待が高まる。
泉質は無色透明、最初は硫黄臭が感じられたが徐々に慣れてくる、その湯は肌に優しく纏わりついてきてすべすべ感が半端じゃない。それは源泉を使用したシャワーも同じで乾ききった肌はすべすべになる。
湯上り後も体の芯がホカホカ温かく気持ちのいい温泉だ。
かみさんの50肩も随分改善されたけれど、身近にこの湯があれば強張った筋肉の蘇りは早いだろう。
天然流しっぱなしの湯「きよもん湯」いい湯頂きました。
きよもん湯
住所 / 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町湯川

さて時間も17:30を過ぎて来た、地元のスーパーで新鮮な生マグロの握りやらなんやら買い込んで、本州最南端の酒蔵「尾崎酒造」の「太平洋」を何本か買い求め、今夜は「道の駅たいじ」で宿泊体制を整える、布団にポータブル電源、電気式毛布に湯沸かし器、そしてシュラフこれで完璧だ。

後は宴会場を作り利き酒会スタート、地元では考えられない値段で新鮮なネタの握りが食べられる幸せな場所だ、くじらもイルカもウツボだって店頭に並んでいる。
そして初めて口にする「太平洋 生貯蔵酒」はすっきりとして喉越しで寿司にあう、もう一本の「山廃仕込特別純米酒」こちらは少し濃厚な風味で香りも主張している。こちらは肉系の摘みにあいそうだ。
何を飲んでも基本美味しいのだが、買って帰ろうと思う酒はそんなにない。 
今回は一本買っていこう。酒蔵の近くまで行ったけれど日曜日はお休みという事で行くのは諦めた。
この辺りはTVの受信状況がよろしくないかも知れない、きっと「TVなんか見とらんと星空でも見てろ」ということかな、普段見えない様な星空が広がり、こんなに視力が良かったかと疑うくらいに空は星で溢れている。爆睡。
道の駅もトイレがとにかく綺麗、かみさんの評価は上々。
朝も7:30にはモーニングも食べれる、また釣り好きな方もここはいいかもしれない。

明け方にはキビレが群れを成して悠々と回遊していた、欲がない時は意外な光景に巡り合うものだ。
海辺近くの宿泊時はワームかルアーは持っていたい。
さて朝飯も済ませ宴会場を片付け出発準備を整える、まだ神蔵山の石段の後遺症が残っている。
かみさん曰く「今日は昨日より歩くから」とのこと。

昨日より歩く・・・・・本日の目的地「熊野那智大社」に向かう、しかも大門駐車場から徒歩で熊野古道の雰囲気を味わうそうだ。
石の鳥居と小橋「振ヶ瀬橋」を渡るとそこからは那智の聖域だ。
熊野那智大社へはこうした杉の巨木に包まれた石段を上っていく、とても石段を数える気にはならない。
唯一、町石の数が増えていくのを心待ちにするくらいか。
途中幾つか見所もあり退屈はしない、水とトレッキングポールがあるといいだろう、車にはあるのだが持ってくるのを忘れた、先を眺めてはいけない、辛くなるだけだ。
ひたすら足元の石段をクリアしていけば必ず辿り着く、バスで行けば10分もかからない距離だ。
ただ、「マムシ注意」の看板はいただけない、陽気もいいし、いない訳がない。長いものは嫌いだ。

大門駐車場から休憩を交えて1時間、「熊野那智大社」鳥居が見えてきた。
古道を歩いている時は出逢う人は少なかったが、ここまで来ると車やバスで訪れる参拝客は多くなる。
過去に訪れた事があるけれど、以前は大みくじがあったが見当たらない、子供と一緒に大楠の根をくぐった「胎内くぐり」もここまで狭かったかナ、随分と印象は変わっていた。
朱塗りの拝殿や熊野造りの本殿は相変わらず鮮やかで優雅な佇まい。
熊野那智大社
住所 / 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1

西国第一番札所 那智山 青岸渡寺
「補陀洛や岸打つ波は三熊野の那智のお山にひびく滝つ瀬」と御詠歌で知られる西国一番礼所。
縁起によると開基は仁徳天皇の頃(4世紀)、印度天竺の僧、裸形上人が那智大滝で修行を積みその暁に瀧壷で八寸の観音菩薩を感得し、ここに草庵を営んで安置したのが最初とされる。 
那智山に映える鮮やかな熊野那智大社に対し、山に溶け込むシックな趣は安らぎのようなものを感じる。
如意輪観音を本尊とする
住所 / 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山8番地


参拝を終えて「茶房珍重庵」のもうで餅と抹茶のセットで一息いれる。
当然ながら、かみさんのリクエスト、以前もどうしようか迷ったようだが息子達もいて諦めたようだ。
今回漸く目的を果たせたようだ。
古道を登ってきて疲れた体、この甘味を求めていたようだ、とても美味しく感じた。
次は小さく見えている那智の滝まで再び歩くか。
看板は要らない、奴は事前に旗降ってここにいるとは教えてくれない。
いつも黙って突然現れる。長いものは嫌いだ。

熊野那智大社別宮飛瀧神社
珍重庵からここまでの下りの石段は割愛です、どこに行くにも登るか、下るか石段しかありません。

大雲取連山は那智48滝と云われる様に多くの滝があります、その中で一番の落差を誇るのが「那智御瀧」。高さは133㍍で滝口の幅は13㍍、滝壺の深さは10㍍以上あるという。
御瀧そのものが大己貴命が現れた御神体としてお祀りし、熊野の神様は元々ここでお祀りされてたという。
神蔵神社もそうですが、自ら我慢して極めたからこそ、こうして見る光景に特別なものを感じる。
熊野那智大社別宮飛瀧神社
住所 / 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1

なんだかんだと大門の駐車場を9:00に出発し再び戻ってきたのが12:30、じっくり回ると1日がかりだね。因みに飛瀧神社からはバスで降りてきました。
昼ご飯は怪しい店に行くらしい。

国道42号線沿いに広い駐車場を持ち、そこにポツンと簡素な店舗と写真の手作り感満載の看板が目に付く。そういえば昨日も運転中にあの店構えと看板の前を通り過ぎた。
とあるTV番組では手作り看板のある店は安くて美味しい法則なんだそうな。
このヤマキも外観とは裏腹に天然クロマグロの海鮮丼が売りの店だ。
毎朝市場で仕入れた新鮮なマグロを使用した丼を主として提供しいる。
大トロも混じっているらしい中とろ丼1,600円を注文。
秘伝のタレを「御飯が黒くなるまでタップリかけてくれ」、普段はかみさんから「醤油かけ過ぎ」とお叱りを受けているが、云われるままに御飯が黒くなるまでかけた、いくらなんでかけ過ぎやろ。
一口食べてみる、意外に醤油辛くない風味のあるもの。
生のクロマグロの丼がこの価格、安いと感じるかどうかはあなた次第。
入店した時は待ちはなかったけれど、他府県から訪れる方も多く会計を済ませる頃には待ちが出来ていました。コロナ対策でテーブル席を減らしている事もあります。
美味しかったか? 昨日の握りに比べると有難さはそれほどでもなかったような・・・・・
マグロのヤマキ
住所 / 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町天満1

熊野予定も全てコンプリート。
多少時間もあり、帰り道でもう一社参拝する事にした。

国道311号線の海岸線沿いに鎮座する「花窟(はなのいわや)神社」。
道の駅「熊野・花の窟」に隣接していて、駐車は道の駅で問題なし。
伊弉冉尊、軻遇突智尊を祀る神社で創建は不明。
伊弉冉尊は火の神軻遇突智の出産時にからだを焼かれて死に、「紀伊国の熊野の有馬村」に葬られた。以来近隣の住人たちは、季節の花を供えて伊弉冉尊を祭ったとされ、それが花窟神社が鎮座するこの地であるという。社名も「花を供えて祀った岩屋」からきているという。
御神体は大きな巨岩でそこに開いた穴は伊弉冉尊の女陰とされる「陰石」、昨日見たゴトビキ岩は「陽石」とされ、それらで一対をなすものだそうだ。
見あげるような巨岩の対面には軻遇突智の神霊を祀る岩もある。
社殿を持たない神社で、それらの拝所では素足となり拝む。
熊野、自然と空に八咫烏が飛んでいそうな神秘に満ちた土地柄です。

さあ後は無事に帰るたげだ、それにしても暑い、エアコン入れるか。
・・・・・ン? 全然冷えないじゃん。機嫌が良かった15年選手もご機嫌斜めなようだ。
構ってほしいのだろう、帰って点検してやろう。
総走行距離580㌔、使用燃料75liter、2トンを超える四駆にしては上出来だ。このままおとなしく名古屋に連れて行って欲しいものだ。

そういえばポータブル電源、100%で出かけて電気毛布、湯沸かし器、携帯バッテリーなど結構使って残量67%でした。
ひょっとしてホームベーカリーもいけるかも。

コメント

人気の投稿