稲置街道に祀られる三十三観音石仏




御日塚神社から稲置街道を北に歩く


今年初めて土筆の姿を見かける。
しかも道路と側溝の僅かな隙間から立派に生えている。
自然のたくましさを感じる。

ここは犬山市羽黒新田上島。
犬山と云えば犬山城、木曽川の鵜飼いで知られるところ、マンホールにもそれがデザインされています。
地元を離れ地方に出かけると、こうして下を向いてマンホールのデザインを見て歩いているとその土地の誇りが良く分かって楽しいものです。
随分コレクションも貯まってきた、それら纏めたい気持ちはあるのだが・・・・・
歩いてみて初めて気付くものもあります。
この堂もその一つかもしれない、車でささっと移動していると気付かないかもしれない。
住所だと羽黒新田上島になるのかな、細い道が街道に交わる角地に大きな岩とその左に石像が安置され、奥には瓦で葺かれた堂の中に複数の石仏が安置されているようです。
遠目から見ると庭石が置いてあるようにも見える。
石標もなく名称は分かりません。
この後方の建物は集会所だろうか、北野会館と書かれていた。
集会所や公民館の一画に良く神社等祀られていたりしますが、ここもそうなのかな。

右側に岩が積まれ、その頂に石像が安置されています、覚明行者の石像の様です。
手前に解説もあり内容は以下。
「御嶽信仰中興の祖、覚明行者石像 御嶽山黒沢口からの登山道を整備、御嶽登拝を容易にして御嶽信仰を一般民衆に広めた人物」とある。

覚明行者の誕生の地は春日井市の牛山町とされます、ここからそれ程遠いとは言えない。
今も御嶽講は受け継がれているようで、この一帯や小牧、春日井方向にかけて、こうした像や御嶽神社をよく見かけます。
左の石標は「御嶽山大権現」、この一画そのものが霊峰御嶽という事です。
この辺りなら空気が澄んでいれば東方向に山々の先に遠く御嶽の姿も拝めるはずです。

堂内には西国三十三観音石仏が安置され、馬頭観音や如意輪観音、十一面観音の姿が見られます。
それらの石仏には文字は刻まれていますが「番」以外はよく読み取れない。
西国三十三所の札所の本尊は観音菩薩、十一面観音、不空羂索観音、千手観音、馬頭観音、准胝観音、如意輪観音のいずれかが本尊。
観音菩薩は三十三の姿に変化し導きを与えてくれることから三十三の札所となるそうです。
現存するかよく分かりませんが、この辺りを中心にした霊場巡りもあるようです。

街道の道すがらには小さな堂に安置された石仏や、個人宅の敷地に埋没した道標など退屈する事はありません。

区画整理された街ではこうしたものも寺の境内に移されたり、ある時突然消えていたりします。
郊外に出てこうしたものが残っている姿を見ると、作り手や安置された個人の思いが尊重されているようで足は止まってしまう。

稲置街道の三十三観音石仏
住所 / 犬山市羽黒新田上島1
アクセス / ​『御日塚神社』から北へ徒歩5分​ 
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